ステンレスとは

ステンレスとは「錆びにくい合金」

Stainless(ステンレス)とは、英語で「錆びにくい」という意味です。名前の通り、ステンレスは他の金属や合金に比べて錆びにくいことを大きな特長としています。 国際規格の定義では、ステンレスは「クロムを10.5%以上、炭素を1.2%以下含む合金」とされています。

ステンレスの用途

その強い耐食性を活かし、ステンレスが使用される場面は多岐にわたります。キッチンの流し台や家電、電子機器の部品、建物の屋根、自動車の排気系部材などの身近なところから、鉄道車両のボディや飛行機の部品、産業用の食品加工機械まで、様々な場面でステンレスが採用されています。

2.ステンレスが錆びにくいメカニズム(耐食性)

錆びにくい秘密は「不動態皮膜」

ステンレスの表面には不動態被膜という膜があり、ステンレスを錆びから守っています。不動態皮膜は、ステンレスの添加成分であるクロムが空気中の酸素、水分と化合することで形成されます。このときできたクロムによる特殊な被膜は他の物質と化学変化を起こしづらく、しかも緻密性が高い(気体を通しづらい)ため、ステンレスの内部への水や酸素の侵入を阻止することができます。このようにして、ステンレスの高い耐食性は実現しています。

ステンレス盤 不動態被膜 =水や酸素

不動態被膜には自己修復機能がある

万が一不動態皮膜が傷ついたり、はがれてしまったとしても、ステンレスの耐食性は損なわれません。不動態皮膜には自己修復機能があり、皮膜が傷つくと自動的に再構成される仕組みになっています。

不導体被膜の厚さは100万分の1mm!

不動態皮膜はたいへん薄く、その厚さはたったの1~3ナノメートル(1ナノメートル=100万分の1ミリメートル)。例えば厚さ1ミリのステンレス盤を30階建て(100メートル)のビルとしたとき、不動態皮膜はほんのコピー用紙1枚ほど(0.1ミリ)の厚さしかありません。

3.JISにおけるステンレスの種類

主要元素 金属組成 特徴 代表鋼種
オーステナイト系 耐食性、耐熱性をはじめ全般的に優れており、最も一般的に使われているステンレス。バリエーションも豊富で、幅広い利用領域がある。磁性を持たない。 SUS304 等
オーステナイト・
フェライト系
(2相系)
オーステナイト系とフェライト系の中間の物理的性質を示す。耐海水性や耐応力腐食割れ性に特に優れている。磁性をもつ。 SUS329J4L 等
フェライト系 クロム系 オーステナイト系より安価だが、耐食性では劣る。厨房や家具などそれほど腐食環境の激しくない場所などに用いることが多い。磁性を持つ。 SUS430 等
マルテンサイト系 フェライト系ステンレスを焼き入れし、硬化させたもの。この熱処理の仕方によって多様な性質を持つことができる。 SUS410 等
析出硬化系 特定の元素を添加することで硬化させる処理(析出硬化)を行ったステンレス。 SUS631J1